あなたのスッピンも大好きです。
いや、待てよ?
今の本当に何も付いてなかった?
人というものは不思議だと思う。
どんなに恐怖に震え上がっていても、頭の中パニックになっていても、
パッと冷静さを取り戻すことがあるんだから。
まさに今の僕がその状態。
僕はお受験という戦争に多いに活躍してもらった脳を働かせて、今の出来事を整理する。
人の顔に目、鼻、口のパーツが全くないなんて聞いたことがない。
居たとしてもそれはお化け屋敷なんかに出てくるのっぺらぼうぐらいだ。
きっと何もなかったんじゃなくて、僕が見落としてしまっただけなんだ。
さらに分析をすると、
あれはいわゆるノーメイク……スッピンというやつに違いない。
眉毛のないスッピンの顔なら母さんのを見たことがある。
けれどはるかに何もないスッピンだったから、やっぱり僕が見落としてしまっただけなんた。
うん。うん。
僕は腕組をして見るからに大きく頷いた。
そして自分の分析結果を確かめるために、恐る恐るではあるけれど、
後ろを振り返った――