あなたのスッピンも大好きです。
車内はいつの間にか乗ってきていた二人、女子高生の話し声で黄色に染められていた。
停留所から次々に乗ってくる乗客。
バスの終点に着く頃には、立っている人も身動きが出来ない程の状態になっていた。
僕と彼女の間には何人もの人がいて、振り返っても彼女の姿を確認することは出来ない。
四十分かけて辿りついた、終点の駅前。
押し出されるようにしてバスを降りていく乗客の中から僕は必死になって彼女の姿を探していた。
けれど彼女の姿を確認することは出来なくて、
気付いたらバスの中は僕一人だけになっていた。
僕は彼女が座っていた座席に目をやった。
「……もう一度……」
――会いたい。
そう漏れた僕の心の言葉。
初めてのこの心のざわつき。
でも僕はまだ、このざわつきを分析する知識を持ち合わせていなくって…
僕は胸にモヤモヤを残したまま、バスを降りたんだ。