金髪の君*完結


前に進もうと思うが、前へ進まない。
それはきっと、手首を捕まれているから。
捕まれている手を解こうと腕に力を入れるが解けない。


「−−つぅ…」


振りほどこうとする度に力が強くなっていき、手首が痛い。
悔しさと痛みで涙が溜まる。

掴んでいる主に振り返り下から睨み付ける。


「何?」


「また泣くのか?」


「−−−っ…」


「お前、俺といるときは必ず泣いてんな。」


真剣な眼差しで見る心から視線を外す。


彼の前で涙を流すのは彼への気持ちが涙となって溢れ出るから。
それに気付かない彼。



−−悔しい…


−悔しい…




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