金髪の君*完結


「離して!!」


−−悔しい!!


勢いよく腕を振り拘束を解く。

目から溢れ出る涙。
涙を手で拭い、彼に背を向け走り出す。

扉を開き、店内に出る。

アッキーがいる席まで走り、椅子にドカッと座る。


「あ、葵ちゃん…?どうしたの?」


アッキーの声が横から聞こえだが、涙を見られないようにテーブルに顔を伏せた。
涙を止めるために目を閉じギュッと力を入れ下唇を噛む。

口の中に鉄の味が広がる。
唇が切れようが、涙が収まるまで噛みつづける。

テーブルに伏せた私の背中をアッキーはゆっくり摩る。
アッキーのおかげで震える体も、涙も止まった。




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