金髪の君*完結
唇の横に手を重ねたまま、俯いた。
海の中にいてバランスが悪いが、心が支えてくれているから沈んだりしない。
頭の中をさっきの出来事が支配する。
"どうして?"
"なんで?"
---あぁ、私達は恋人じゃない…
考えればすぐにわかること。
だけど、認めたくなかった。
幸せだったあの時。
「戻れるわけないのに…」
俯いたまま小さな声で呟く。
ポチャンッと小さな水しぶきが立ち、自分が泣いていることに気付いた。
心にバレないようにこっそり涙を拭いた。
「--な--て…」
「あ?」
頭上から不機嫌な声が聞こえた。