金髪の君*完結
「あ?」
地を這うような低い声にビクッと肩が上がる。
私から視線を離していて逃げるチャンスなのに体が言うことを聞かない。
震える足に鞭を打ち、一歩踏み出そうとした瞬間
「----ひっ…」
若田に腕を掴まれた。
「あぁ」
腕を掴んだまま話をする若田。
掴まれていない方の手で若田の手を離そうとするが外れない。
若田の手が腕に食い込んで痛い。
「---っ…
は、離して…」
「あぁ、もう見つけた。」
涙を堪え、暴れる私の耳に聞こえた若田の声に頭が鈍器で殴られたかのように衝撃を受けた。
抵抗しなくなった私に視線を向けた若田は口角を上げ、携帯を切った。
--偶然なんかじゃなかった…