金髪の君*完結


手に持っていた焼きそばに視線を向け


---焼きそばでよかった…


焼きそばに視線を向けていて、手が伸びてくるのに気付かなかった。
気付いた時には唇の端に指先が触れ


「--ひゃっ!」


小さな悲鳴を上げた。


指先の主に視線を向けると真剣な顔で唇を見る心にドキッと胸が高鳴った。


「な、何…?」


吃る私に「黙って」と言う心。
心に言われたとおりに口を閉じ、ジッと固まる。

心は唇の端を爪でカリカリ掻き始めた。
刺激がくすぐったくて頬が緩む。


「取れた。」


心の声と同時に離れて行く指先。
その指先を目で追うと、指先はそのままパクッと心の口へと入っていった。



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