金髪の君*完結
「どうしよう…」


人混みに混じり駅へ向かっているが、なかなか前に進まなくて焦りを感じたころ


「--えっ?」


グイッと腕を引かれた。
そのまま脇道へ誘導され、人が少なくなった場所まで来た私は腕を引く主に視線を向けた。


「----若田…」


ニヤニヤ笑っている若田の姿が視界に入った。

腕を掴まれていることを思い出し、腕を振るが力が込められていて外れない。


「は、はな、して…」


海でのことを思い出し震える声を振り絞る。


「今日は何もしねぇよ。」


若田の言葉に胸の中で安堵の溜め息をはいた。
顔に出ていたのか


「何もしねぇが、話はある。」


「残念だったな」と言い腕を引き歩き出した。




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