金髪の君*完結
「あ~ぁ、惜しい。」
ケラケラ笑う若田の声。
心に抱きしめられている私は若田の姿を確認できない。
「若田。」
頭上から地を這うような心の低い声にビクッと肩を上げた。
そんな私に気付いた心は背中を摩る。
「この前の答えは"ノー"だ。」
「へぇ~、俺は別に構わねぇよ。
楽しくなりそうだな。」
「いつでも受けてやるよ。」
「まぁ、せいぜい別れを惜しんでおきな。
葵は必ず手に入れてやる。」
若田の言葉に心は私に回した腕に力を入れた。
「また近々あおーぜ。」
路地裏の奥へと歩きだした若田の足音は徐々に聞こえなくなった。