金髪の君*完結
『お前はすぐいなくなるから手ぇ繋いどけ。』と私に視線を向けることなく言った心。
繋がれた手に引かれる私の頬は緩み赤く染まった。
楽しいと時間を忘れ、時間は早く進む。
「そろそろ帰るか。」
海が一望できる展望台のベンチに座る心が、隣に座る私に声をかけた。
立ち上がった心に手を引かれ、ベンチから腰を上げた私は最後に海へ視線を向けた。
周りは既に薄暗く、海は昼に見た時とは違い輝きを失い、黒く染まり飲み込まれそうだ。
「--観覧車。」
「あ?」
「せっかく観覧車があるんだから乗ろう?」
展望台の階段を、私の手を引き歩く心の背中を見つめる。
「あぁ、わかった。」
観覧車へ向かって歩く心に胸を撫で下ろした。