金髪の君*完結
「--…一樹---ん…-い。」
「はへ?」
手に顔を預け、視線が合ったまま口を開いた心に見とれていた私は、口が動いたことに気付いたが聞き取ることは出来なかった。
「一樹、2週間後に退院できるらしい。」
素っ頓狂な声を出した私に、嫌な顔をすることなく、聞き逃した会話を繰り返した心。
「本当!?よかったぁ~!」
一樹の退院が決まり笑顔で喜ぶ私に、心は口角を上げ笑顔を見せた。
中学の時は白い歯を見せよく笑う心が好きだった。
別れてから2年後に再会した時は、全く笑うことなく冷たい瞳をしていた心。
海で和解したのを期に少しずつ笑うようになった心に、何度も胸を高鳴らせた。