金髪の君*完結



「あー、これは防犯用のオートロックを解除する鍵。
そんで、これが家の鍵だ。」


目の前に2枚のカードがあるが、両方共同じ色で似ているため見分けがつかない。


解除された自動ドアはゆっくりと静かに開き、私達を歓迎している。

若田は自動ドアを過ぎ、2つあるドアの前に立ちカードを通した。


「あんたん家って金持ちだったんだね。」


ピッと音が鳴ると同時にガチャッと鍵が開いた音が耳に届いた。

若田は、大きくて立派な扉に手をかけ


「いや、俺ん家は母子家庭。
っで、ここん家は…--」



ドアを開き、手を勢いよく引かれ若田より先に部屋へ入れられた。
そして私の視界には


「柳ん家だ。」



「やっぽー!葵ちゃん、おげんこー?」


ニコニコ笑い手を振る柳が、玄関に立っていた。


「な、な、な…--」


「な?」


「なにこれ!凄い!!」


繋がっている手を振りほどき、「お邪魔します」と言い部屋へ飛び込んだ。


「ちっ」


「えっ!?そっち!?
今の場面って『何でいんの?』じゃないの!?」


広い廊下を走る私の後ろから聞こえた声に、反応することなく我先にと廊下にある扉を開いた…--



「え゙っ…」


「はぁ」

「ぶっ!」


扉を開いた私は、扉の先の光景に驚き掴んでいた扉を勢いよく閉めた。


その様子を見ていた若田と柳。
若田は溜め息をはき、柳は吹き出したままゲラゲラ笑っている。


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