金髪の君*完結
「あはははは!ひぃー、ひぃー…--ごほっ」
笑いすぎて噎せる柳をギロッと睨み付ける。
「ほっとけ」
いつの間にか私の隣に来ていた若田が、扉に手をかけたのを見た私は
「開けちゃダメ!!」
咄嗟に若田の手に両手を被せ、開けるのを阻止した。
私の行動に驚いた若田は、ジッと自分の手に重ねられた私の手を見て口角を上げた。
そして私の手を取り、ドアを開けた。
「開けちゃダメだっ…-あれ?」
開けられたドアの先には、先程見た光景ではなく、立派な皮張りのソファーにと男の人が1人座っているだけだった。
呆然とする私をよそに、若田は気にすることなくリビングに足を踏み入れた。
手を繋いでいる私は、一緒にリビングに入ることになってしまった。
「よぉ、泰(ヤス)。」
「はぁ、まじ邪魔しないでよ…。」
テレビから視線を若田にうつした泰と呼ばれた男は、私の存在に気付き
「やっべぇー!外人!?」
「--ぇっ?」
ソファーから勢いよく私に飛び掛かってきた。
「--ぅ…!」
抱き着かれる前に、泰の脇腹に若田の蹴りが入り、ソファーへ舞い戻った。
「いってぇな!!」
脇腹を抑え、若田を睨み付ける泰に
「こいつ俺の女」
私を指し、告げた。
"俺の女"と言われて胸に響かないのは、相手が若田だから。
これがしんちゃんだったら…?
虚しいさが私を襲った--…