金髪の君*完結
"若田の女"と自分に言い聞かせた私は、部屋の中を見渡した。
「広ぉーい!!
…--けど、汚い…」
若田の部屋は、20畳ほどの畳の部屋。
洋室だと思っていた私は、見た瞬間驚いたが、畳よりも広さと汚さに驚いた。
「…片付け…」
「え?」
窓からの景色を見ようと、雑誌や服を避けながら部屋の奥へと向かう私に、若田の小さな声が聞こえ振り返った。
「昨日、片付けようとしたらこーなった。」
視線を合わせないように、横を向いている若田の耳や頬が赤かった。
「料理はできる?」
「料理…爆発する。」
「洗濯は?」
「泡が大量発生する。」
家事全般がダメみたいだ。
「後で、一緒に部屋片そう。」
私の周りは何でもできる人が多いから、若田みたいな不器用な人が凄く新鮮。
若田に笑顔を向けると、照れ臭そうに痛んだ金色の髪を乱しながら頭を掻いた。
私は再び窓へと歩を進め、窓へへばり付いた。
「わぁ…」
高級マンションの最上階から見る景色は綺麗で、夜にもう1度見たいと思った。
「何探してるんだ?」
すぐ後ろから聞こえた若田の声に、ビクッと肩を上げた。
「こ、こんなに高いから…
私のマンション見えるかなぁって。」
「離れてるから見えねぇよ。」
「だ、だよね!掃除しようか!」
無意識に心や一樹、未来の家を探していた--…