金髪の君*完結
「ぎゃははははは!!」
隣の部屋に繋がるドアが開くと同時に聞こえる下品な笑い声。
「やばくねぇー!やばくねぇー!?
あの健吾が正座ってやばくねぇ!!マジ、この写メ送りまくろうぜ!」
「ぎゃははは!それいいねぇ!
写メの題は"健吾、自分の女に頭上がらず"でよくね?」
携帯を見ながら、下品な笑い声を上げる泰と、写メを広めようとする柳。
2人は、私達がソファーで隠れて見えていないようで
「よし、出来た!!
じゃぁ一斉そうし…--げっ!」
若田が、腰を上げ立ち上がると
「健吾いたのかよ!!」
「俺、悪くねぇーよ!柳が言い出しっぺだかんな!」
2人はうろたえる姿がちょっと笑いを誘う。
「腹空かねぇか?」
何事も無かったかのように、私に話かける若田の後ろでは、
「お、おれの携帯…携帯…
可愛い子ちゃんの番号が…」
「ふごぉ、ふごぉ!!」
真っ二つになった携帯を見て嘆いている柳に、両手と口をタオルで縛られている泰の姿が。
「空かねぇ?」
2人の姿を哀れに思い、見ている私を覗き込むんだ。
「あ、うん。空いた。」
目だけ若田に向け、小さく頷いた。
「じゃぁ、食いに行くか。」
手を差し出してきたが
「あっ、何か作ろうか?」
その手を取ることなく、見上げる私に
「葵の手料理は嬉しいが材料がねぇ。」
と言い、膝に置いてある私の手を掴み立たせ玄関へ歩きだした。