金髪の君*完結
運転手のトランクに入れる手が微かに震えていることに気付いた私は、
「ありがとうございます。」
お礼を言った。
「あっ、いえ!」
私が話かけたことにより震えは止まり、逆に焦りだした運転手を見て不思議に思ったが、駐車場に響いた柳や泰の悲鳴に、運転手は体を固まらせた。
何度目か分からない程聞いた悲鳴に呆れる私は、声の主を気にかけることもせず後部座席へと乗り込んだ。
私が乗り込むと後に続き、若田と頭を摩りながら柳と泰も乗り込んだ。
運転手は、全員が乗り込んだのを確認し車を発車させた。
ルームミラーで見た彼の顔は強張っていた。
「ご飯どこで食べるの?」
重苦しい車内の中で、居づらくなった私は隣に座る泰に声をかけた。
「着けばわかる。」
答えたのは、若田で
「2人共、頭大丈夫?」
「手加減したから平気だ。」
「あっ、携帯守り切ったんだね。」
「携帯も金かかるからな。
写メ撮られなかったから壊す必要はねぇ。」
「縛られなくてよかったね。」
「結ぶもんねぇからな。」
意地を張り、若田に話かけない私に全て答えた若田。
続かない会話は目的地まで止まることはなかった。