金髪の君*完結
健吾と私
「飯。」
「ちーす。」
「おばちゃーん!いつものー!」
のれんを潜り、ドアを開け中に入った若田と泰、柳。
私は3人の態度に呆気に取られながらも3人に続きのれんを潜った。
「あんた達か。」
カウンターの中にいた女の人は、露骨に嫌な顔をする。
「こ、こんばんは…」
最後にのれんを潜った私は、柳の後ろからひょっこりと顔を出した。
私の姿を確認し、驚きをあらわにした女の人は
「ふ、ふぁ~ろぉ~?」
英語だとは言えない言葉をはいた。
「クソばばぁ、葵は日本人だ。」
「クソばばぁだぁ!?実の母親に対して何て口をき…-「お母さん!?」」
驚き言葉を遮ってしまった私に、皆の視線が集まり「すいません…」と言い視線から逃れようと顔を伏せた。
顔を伏せた私の頭に感じた温もり。
温もりは頭の上を動き、撫でられているのが分かった。
「こいつ、葵。俺の。」
"俺の"
私はそっと顔を上げると、頭を撫でていた手を止め、フッと目元にシワを作り笑った。
今回、若田は"俺の女"とは言わなかった。
"俺の"と言った若田の気持ちは私には分からないが、この言葉は色んな意味にも取れる。
"俺の彼女"
"俺の物"
"俺の女"
そして"俺の友達"
若田は強引で卑怯な奴だけど、私に最後の選択を与えてくれた。
"女"か"友達"か。