金髪の君*完結
「おいしぃぃー!」
私が声を上げると
「だろー!!沢山食べなー!」
キッチンの方から声が聞こえ「はーい!」と笑顔で答えた。
そんな私を、若田は嬉しそうに見ていたなんて知らなかった私は
「この煮物も美味しいぃ…
あっ!チーズ揚げだ!」
無我夢中で料理を食べた。
「ごちそうさまでした。」
「いいぇー、また食べにおいで。」
私達が来たときには客1人いなかったお店は、私達が帰る頃には沢山の人達によって空席がない程混み合っていた。
忙しそうに働くお母さんと、従業員の若い男の人に頭を下げお店を出た。
「あぁ、やっぱり持ってくればよかった…」
来たときと同じ車に乗り込み、落胆し肩を落とす私に
「食べ過ぎ」
隣に座っている若田が溜め息をはいた。
「だって勿体ないじゃん。
やっぱタッパーにでもいれて…」
「もう戻んねぇよ。」
「だよね…」
再び落胆する私が考えるのは、残った料理のこと。
--今度から少なくしてもらおう…
自然と出た"今度"と言う言葉に、俯いたまま笑みを漏らした。