金髪の君*完結
初めて来た大八木高校。
四角い特徴のある建物を見たのが久々で、凄く懐かしく思えた。
正門の前でバッグから携帯を出し"若田 健吾"の名前を探し、電話をかけた。
乗ってきた車は私が降りたのを確認し、去って行った。
正門の前に立つのは私だけ。
心細くなった私は、呼び出し音がなる携帯に
--早く出て…
と何度も呟いた。
「着いたか?」
電話から聞こえた健吾の声に胸の中で安堵の溜め息をはいた。
「着いたよ。どうすればいいの?」
「まだ授業中だから教室まで届けてくんね?」
「え゙っ!?無理!」
即答する私。
電話から聞こえた健吾の笑い声にムッと顔をしかめた。
「電話しながらでいいから。」
「ゔぅ゙…わかった道案内よろし…-「あお…」」
後ろから聞こえた声に、体が硬直した。
「--あお、だろ…?」
「おい、葵どうした?」
後ろの存在に全神経が集中し、心配する健吾の声が、遠くに聞こえた。
電話を耳に付けたまま、ゆっくりと振り返った私の視線の先には
「---しんちゃん…」
懐かしい彼の姿があった。