金髪の君*完結
「--しん、ちゃん…」
絞り出した声に、心がピクッと反応した。
「あ、のね、私…しんちゃん、のこと、す…-「葵!!」」
私を呼び掛ける声に反応したのは私だけではなく、肩から頭を離した心はお腹に回した腕に力を込めた。
私から少し離れた場所で立ち止まった健吾は、肩で息をし私達を見据えた。
--私、今なんて…?
しんちゃんに何て言おうとした?
健吾の声と健吾の姿に、我に返った私は再び心から離れようと暴れた。
「離して!」
巻き付いた腕を叩いてみたが…
離れない。
「健吾ぉ…」
泣きそうなのをグッと堪え、健吾に手を伸ばし助けを求めた。
私の行動に、健吾は驚き目を見開いたがすぐに笑顔に変わり
「葵、おいで。」
腕を広げた。
一瞬だけ緩んだ腕に、瞬時に反応した私は心の腕を解き駆け出した。
「あお!!」
駆け出した私の腕を掴んだ心。
私は、心に視線を向けることなく手を振り払い走り続けた。
--健吾の元へと…