金髪の君*完結
ボフッと音と共に、体を包む温もり。
その温もりに安心した私は一気に力が抜け、健吾に寄り掛かった。
私の状態に気付いた健吾は
「--ひゃっ、降ろして!」
私を軽々と抱き上げた。
人生初の"お姫様だっこ"に頬が赤くなるのを感じた。
恥ずかしくて顔を赤く染めた私を、健吾は愛しそうに見つめる。
「首に手を回せ。」
健吾の言葉に、素直に従う私。
首に手が回ったのを確認すると、心に背を向け校舎へと歩き出した。
校舎へ向かって歩く健吾に、心は声をかけることも止めることもしなかった。
校舎に入り、空き教室にあった椅子に私を降ろし
「大丈夫か?」
同じ目線になるように腰を折った健吾。
頷く私の頭を撫でる健吾の手はいつもより優しかった。
「あっ、お弁当!」
肩にかけてあったバッグからお弁当を出そうとする私の手を健吾の手が制し
「今、車呼んだから家で食う。」
バッグを奪い、机に置いた。
「えっ?授業平気なの?」
「あぁ、半日くらい平気だ。」
「じゃぁ、家で一緒に食べよ?」
「おぅ」
さっきの出来事に何も言わない健吾。
気を使っているのが分かった。