金髪の君*完結
私の声に、胸を這っていた手がピタッと止まった。
私は、拘束を解かれていた手で顔を覆った。
流れ出し、止まらない涙を隠すために。
顔を覆う私の耳に聞こえたカチャカチャとベルトを外す音。
その音に体を硬直させた私に襲う
「---っぅ…」
下半身の鋭い痛み。
(なぁ、俺は何度お前を手放せばいい。)
(手に入れたと思ったらいなくなり、手が届きそうな時にいなくなる。)
(いつになったら過去を忘れて、今の俺に追いついてくるんだ?)
(俺の気持ちは報われるのか?)
(お前は…あおは…
俺への気持ちは少しも無いのかよ!!)
--しんちゃん…
(あお…)
私は貴方が好き…
行為が終わり、身なりを整える健吾の背中を虚な目で見つめる。
「俺は謝らねぇからな。葵は俺の女だ。」
健吾は私を見ることなく、部屋を出て行った。
(葵は俺の女だ。)
そう私は健吾の彼女。
こうなるのを覚悟で彼女となった。
「---うっ…」
覚悟していたのに、
彼が大切なのに、
抱かれてもいいと思ったのに
どうして…
「--グスッ…、しん、ちゃん…」
涙が出るの…?
ベッドに横になったまま涙を流す私は、彼の悲しむ顔しか浮かばなかった…