金髪の君*完結



「間に合った…」


健吾の手を引き、泰達に誘導されながら足早に向かった教室。

私は健吾の隣に用意された机に突っ伏した。


教壇には、担任の先生らしき人。


突っ伏した私に気づいているはずなのに、注意せずに教室を出て行った。


「おい、葵。」


隣に座る健吾に話し掛けられても


「おーい、葵ちゃーん。」


「スカートめくってみれば?」


同じ教室にいる泰や柳に話かけられても顔を上げられないのは


「おい、てめぇーら、前向け。」


教室中の男女の視線が痛いから。



「もう平気だ。」


健吾の言葉に、ゆっくりと顔を上げて周りを確認した。

向けられている視線は、健吾と泰、柳のみで


「はぁ…」


小さく溜め息をついた。


ピッタリと付いている机の隣には健吾。

初めて着たセーラー服。

健吾や泰、柳がいる教室。

色とりどりの頭達。


全てが新鮮で、見ているだけでも楽しい。


キョロキョロと周りを見渡す私に


「落ち着け。」


健吾は頭を撫で制した。


おとなしく撫でられている私を愛しそうに見る健吾。

そんな彼に、微笑んだ。






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