金髪の君*完結



「葵は気付いてないが、お前を抱く度、いつも上の空なんだぜ。」

「---え…」


「それってさ、まだあいつを忘れられてないってことだろ?」


「違う!私は健吾のこと考えてる!」


「きっと無意識なんだろうな…
まぁ、俺が無理矢理抱いちまったのがわりぃか。」


健吾は振り返ることなく、話を続ける。


「いつかお前が俺の前からいなくなりそうで、必死につなぎ止めようと抱き続けたが、俺そろそろ限界。」


ハハッと笑う健吾。


「お互いさ、逃げるのやめねぇか?」


「……」


「お前はあいつのことを好きな気持ちから、俺はお前を失うことから。」


不意に立ち止まり、振り返った健吾はいつもの笑顔を浮かべていた。




「なぁ、最後にキスさせてくんねぇか?」


健吾の顔が真っ正面から見れなくて、俯いている私を覗き込む健吾。


「最後じゃないもん…」


目に涙を浮かべ、健吾の目を見ると


「いや、最後だ。」


哀しみに溢れた目で、健吾は無理矢理笑った。

そんな健吾に、胸が鷲掴みされたように痛くなった。


ゆっくり近づいてきた顔を、目を閉じることなく見続けた。




触れるだけのキス…



すぐに離れた唇に、寂しさを感じた。





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