金髪の君*完結
「返せって言って返すのかよ。」
「いんや。
やっと手に入ったのに手放すわけねぇだろ。」
クックックッと笑う健吾。
心は眉間にシワを寄せ
「俺だけを呼んだ理由はなんだ。」
健吾を睨み付けた。
「なぁ、お前は葵を何回抱いた?」
「ちょっ、健吾!」
「何言ってやがる。」
「--やっ…」
「俺はな、毎日何回も抱いてるよ。
しかもついさっき…--「止めてぇぇぇぇ!!!」」
私の悲痛の叫がグラウンドに響いた。
「分かったか、葵。
お前の本当の気持ちが。」
しゃがみ込み頭を抱える私に、健吾もしゃがみ込み耳元で囁いた。
健吾の言葉を否定するように、頭を左右に振る。
「いい加減、逃げるの止めろ。」
頭を撫でながら、優しく言い聞かせる健吾。
「私は健吾がぁ…」
「あぁ、わかってる。
俺を大切に思ってる気持ちは十分伝わってる。」
「--グスッ…、わ、わかんないよぉ…」
「葵、顔上げてくんねぇ?」
抱えていた手を解き、顔を上げ健吾を見ると
「ぷっ、ぶっさいく。」
笑いながら、流れた涙を指で拭った。