金髪の君*完結
「私のことはいいから、集中し…-あっ、危ない!」
「--うほっ!危ねぇなっ…っと!」
銀を殴りそこなった男は鳩尾に膝蹴りをくらった。
優勢に見えていたが、30対2では不利で綺麗な一樹や銀の顔には殴られた跡が赤く腫れ上がっている。
見ていられなくて、一樹から預かった帽子を抱きしめ目を閉じた。
「--くっそ!」
一樹の声には余裕がなく、何もできない私は悔しくて唇を噛んだ。
「そろそろ終わりにしろ。」
聞き覚えのある声が聞こえ、顔を上げると
「じゃあ、今度こそ…」
ニヤニヤ笑いながら私の方へと近付く飯塚。
「こ、来ないで…」
近付いて来る飯塚から離れようと、後ろへ一歩ずつ下がる。
「あおちゃん逃げて!」
「くそっ、どきやがれ!」
離れた所では、一樹と銀は男達に囲まれていた。
「--っぅ…」
「もう逃げ道は無いぞ。」
私の後ろには積み上げれた木材。
逃げる場所を失った私に、手を伸ばす飯塚。
「嫌だ…」
「つーかまぁーえた。」
掴まれそうになった私は
「--しんちゃん…」
小さな声で呟いた。
「--ちっ…」
飯塚の舌打ちと同時に
「触んな。」
と言い、飯塚の顔にパンチを食らわした。