金髪の君*完結



中学生の時は、心との別れに涙したが、


「卒業生退場。」


私は涙も流すことなく、卒業式を終えた。



胸にポッカリと空いた穴。

だけど、私の気分は清々しかった。


最後の最後まで、サボった心は体育館には現れなかった…


謝罪もお礼も言えなかった私は、それだけが心残り。

私は、4月にはこの地にはいない。


未来、美穂、アッキーの3人には話たが、心達が知っているのかはわからない。


新しい地で新しい人達と新しい人生を歩もうと、そう決めた私はこの地を去ることに未練は無い。

未来には一樹が付いているし、安心だ。



卒業証書片手に、泣き声や興奮する声が飛び交う廊下を、美穂とアッキーの3人で歩く。

アッキーは号泣し、美穂に肩を抱かれていて、私はその隣で1年間通った学校を目に焼き付けるように見ていた。


「あれ?」


歩きながら一つ一つ、教室を見る私の耳に聞こえた美穂の声。
その声に釣られ、見た先には


「へ?」


S組の前に溜まる沢山の女子生徒の姿。

女子生徒達の視線は全て教室の中に向いていて、歓喜の声を上げていた。



「はいはい、どいてねー!」


ズカズカと女子生徒の群れを掻き分け進む美穂に、続く私とアッキー。

前を歩いていた美穂はドアの前に止まり、目と口を大きく開き固まっていた。





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