金髪の君*完結
「それでは、皆さんお元気で。」
寂しく笑った先生の言葉で、私達の高校生活に幕を下ろした…
貰った色紙を読むことなく、鞄へしまおうとした私の視界に入ったのは
「さ、くら…」
黒のボールペンでかかれた、桜の花。
桜の花の周りには名前も何も書いていなかったが、私には分かった。
誰が書いたのかが…
嬉しくて、式では出なかった涙が一筋頬を伝い桜の花の横に落ちた。
私は後ろへ振り返り、書いたであろう心の姿を探した。
「--いない…」
席にも、教室内にも心の姿は無く無意識に溜め息を吐いた。
私は、色紙を鞄にしまうのを止め抱えたまま正門を出た。
美穂やアッキー、クラスメート達に「最後に集まろう」と誘われたが全て断った。
残念がるクラスメート達を横目に、教室を後にした私は、同級生や下級生の呼び掛けにも答えることなく昇降口を出た。
中学生の時にはあった花道。
高校ではないのかと寂しさを感じながら、正門を通った。
ただ、前を向き家までの道を歩くだけ。
清々しかった気持ちはどっかに行ってしまい、今は--…
何かが喉につっかえてて気持ちが悪い。
---何が…-?
出てきてしまいそうな言葉を何度も飲み込んだ。