金髪の君*完結



「おめぇは何やってんだよ。」


俯いたまま歩いていた私の前から聞こえた声に頭を上げた。


そこには



「健吾…」



卒業証書が入った筒だけを持った健吾の姿。


「あっ、卒業おめでとう。」


「おまえもな。
ってか、第一声にそれなくね?」

「えっ?」


「普通、『久しぶり』とか『元気してた』とかじゃねえの?」


「あーうん。そうだね。」


私の反応が気に入らなかったのか、眉間にシワを寄せた。



「なんて顔してんだよ。」


「--えっ?」


「俺は、お前が幸せになるように手放した。」


「う、うん。」


頷く私に


「じゃぁ、今お前は幸せなのか?」


「……」


「お前の顔ぶっさいく!」


「……」


「俺はそんなお前に惚れたんじゃねぇ。」


「……」


「俺は、あいつの隣にいるお前に惚れたんだよ。」


「---っ…」


「そんな表情のない、人形みたいなお前に惚れたわけじゃねぇ。」

「……」


「行けよ、行ってスッキリしてこい。」


いつの間にか目の前にいた健吾が、私の背に周りトンッと背中を押した。






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