金髪の君*完結
あなたと桜の木の下で
「はぁ、はぁ、はぁ…」
立ち止まり、肩で息をする私の視界にうつる建物。
懐かしいそこは"東第三中学校"。
私はここで精一杯恋をした思い出の場所。
「ふぅ…」
私は深呼吸をし、力強く歩きだした。
…--大切な場所へ。
ここに心がいるのかは分からない、けどここにいると感が言っている。
私は迷うことなく、歩き続けた。
開けた場所に、立派な桜の木。
私は桜の木に一歩一歩近付く。
3年経っても変わらない風景。
ただ、春の風景を見るのが好きだった私は、枝だけの桜の木に寂しさを感じた。
「--いた…」
桜の幹に体を寄せ、頭だけ出し桜の木の後ろを覗いた。
そこには3年前と変わらない彼の姿が。
艶のある黒い髪、調った綺麗な寝顔。
中学1年生の時に、恋に落ちた彼の姿があった--…
寝ている彼に近付き、横に座る。
ドキドキと高鳴る心臓。
緊張し震える手で、そっと黒い髪に触れると
「--っ…」
突然、強い風が吹き私の髪の毛が舞った。
舞った髪の毛を手で押さえ、再び心に視線を向けるとバチッと交わった視線。
「--誰…?」
掠れる声の彼も、昔と同じ。
「高橋 葵、貴方は…?」
「藤森 心。」
ここまでも同じ…
じゃぁ次は…?