恋の方程式

カツカツと音をたてて問題を黒板に書く先生。
なんだかいつもより違う・・・
あ、そうか。
いつもは二人きりだけど今日からはみんながいるからだ。
いつもより声が大きい先生。
いつもより張り切っている先生。
二人でいる時となんだか違う。
やっぱりアレなのかな?



<私と二人でいるよりも授業する方が楽しいの?>



そんな不安か何かが私の頭を過ぎった。

「じゃあこの1番を萩原、黒板に書け。」
「は、はい。」

正気に戻った私は前の黒板へ向かった。

「途中式も、ちゃんと書くんだぞ?」
「は~い」

私は黒板のチョーク置きに手を伸ばしたが、
先生は自分の持っていたチョークを私に渡した。

「この問題昼にやった問題だ。解けるよな?」
「っっ・・!」

黒板と向き合っている私に、
先生は耳元でささやいた。
私は耳が弱い。
私はうっかり出そうになった言葉を
かみ殺した。

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