恋の方程式
気まずいまま時は過ぎ、
気づけば夏講の数学の授業中。
「このyの式は・・・」
静かな教室に響く声。
野木先生は振り返り黒板にスラスラと途中式を書いていった。
私は板書をノートに書き写すのに必死。
先生の解説なんて右から左に受け流れている。
「じゃあこの問題を・・・」
教室を見渡している先生。
当てる生徒を決めているんだろう。
今日は一回もあてられていないから今回はあてられるかな?
私は必死に答えを導き出していた。
せっかくあてられたのに間違うのは恥ずかしいからね。
私と先生の目が合った。
<あてて!この問題分かるっ!>
という視線を送ったつもりだった。
でも先生は私の期待を裏切った。
「山崎。」
「X=7です。」
「正解、え~今の答え分からない人!」
先生、さっきアナタと目が合いましたよね?
5秒間ぐらい。
あなたの行動が分かりません。
誰も手を上げなかったのを確認し、
うなずく先生。
「よし、今日はここまで。宿題はこのページの今日やってないところな。それじゃあ起立。」
ガタガタと椅子を机に直す私達を見渡した先生は、
礼の合図をして授業を終了した。