迷える子羊、クールな狼
「昔、屋敷を抜け出して町に出たの。
屋敷で生まれた私は、もっと広い世界に興味を持った。
楽しそうに遊ぶ子供もいたから、仲間に入れて欲しくて・・・
でも外の世界は、とっても恐ろしい所だった。
色んな物を目にしたわ。
子供ながらに強い衝撃を受けて、
私は、屋敷の中がどれだけ安全で、自分が恵まれているかを知った。
・・・ある日私は、ある女の子にお金を渡した。
喜ばれると思った・・・それで、救えると思った・・・
だけど、女の子は親に叩かれた。
どこから盗んできたのって。
女の子は私の事を話した。女の子の親の所に一緒に行ったりもした。
でも、
喜んでは貰えなかった・・・。
むしろ、怖いくらいに私を睨んで、、、
憎らしげに。
あんな恐ろしい大人を見たのは初めて。
子供の私は、友達すら救えないのだと分かった。
それから私は、
外に出てないわ。」
ポツリ、ポツリと
独り言のように。
「あの人達を救う方法を考えてみても・・・ダメ。
私は勉強が出来ないんだもの」
何をどうしてよいのか・・・、
言いながら、小さな雫を零した。