迷える子羊、クールな狼
「内緒の話をしましょう。」


そういってジョセフは辺りを見渡した。

やや間があって、そっと近くの椅子に腰掛け、話し出した。




「実は私は、元々は貴族でした。

貴女のような、何不自由ない生活と名誉を与えられ、御曹司として育て上げられた。

しかし、私とてその時は特別自分は幸せだなどとは感じておりませんでした。

寧ろ、跡取りとして厳しい教育を受け、窮屈な世界に閉じ込められている事を恨めしく思っていました。」



驚く私の瞳を見つけて、ジョセフは小さく微笑んでから、続きを話し出した。
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