―百合色―
一人、焦っている俺に、
優しい声が聞こえた。



『79ページだよ!』



『へ?』


優しい声は、


斜め前のマナだった。


『79ページ!』


『さんきゅ…』



俺はパラパラとページを捲っていく。


その手が緊張していたせいか、うまく捲れない。


なかなか79ページが見つからない。


『坂井、早くしなさい』



待てよ…
俺は今それどころじゃないんだよ…



マナが…話しかけてくれた…初めてではないけど、
二回目。



嬉しすぎる…


やっと、79ページを見つけ、俺は文章を読んでいく。

途中途中、読むのが詰まってしまったのは、無理もない。


緊張してたから。

読む事に緊張していたのではなく、



マナの事で緊張していた。


読み終わった俺は今、どんな顔してるのか自分でも分かる。



またピンク色で染まるんだ。
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