―百合色―
目を閉じても─…


俺は夢の世界へと行けなかった。


夢の世界なら、自分の思い通りの世界になる。


そんな世界に憧れをもつ。

でも夢の世界へとは行けなかった。

何回も挑戦しても、
何度もこの世界へと帰ってきてしまう。


それの繰り返し。


太陽が、顔を出す。

俺に、《おはよう》と言ってくれているみたいに、
部屋のカーテンの隙間から、光を差す。



俺はいつものように、制服に着替え、いつもと同じ時間に家を出た。


携帯を見ると、マナからの連絡はない。


当たり前だ。


昨日、距離を置こうと言われたばかりだから。


昨日の今日に連絡がある訳ない。


いつか─…俺はフラレる。


その日が来るまでに、


俺を誰か…拐ってよ…
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