―百合色―
あの空を自由に飛ぶ、
鳥から翼を奪って、


俺の背中につける事が出来たのなら…


俺はいち早くこの世界から、さよならを告げてやる。

そして違う世界へと移るんだ。


誰も傷つかない。

誰も嘘をつかない──…


俺な心の中で描いた世界へと。



『光輝?』


バス停でバスを待っていると、タクミが俺の名を呼び、俺の横へ並んだ。


タクミとは、あれからまともに話していない。

俺が一方的に怒った時から。


『おう、タクミ』



『今日暗くね?』


タクミはいつも俺の異変に気付くのが早い。


タクミに心を読まれているのかも。



『マナに、距離置こうって言われてさ…一ヶ月くらい』


同時に、バスが、沢山の人を乗せて、時刻通り、バス停に着いた。
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