―百合色―
右へ左へ…

俺は行ったり来たりする。

進むべき道がはっきりと見えていないから。


…本当は、もう答えが出ていたのかもしれない。



マナに距離を置こうと言われたあの日…


俺は演技していたのかもしれない。


《彼氏》だから。


彼氏だったら、怒る。


でも俺は確かにイライラした。


が、今考えてみれば、

俺もマナと同じ、

マナに対する気持ちが…


100%とは言わない。

無いに等しい。



『俺、マナの事好きじゃねぇんかな?』


俺は学校から帰る途中、
空に向かって質問をした。


あの一番輝いている星に。

その星は、他の星より、早く出ていて、俺を見守ってくれているようだった。


あの星は、ずっと同じ輝き。


ずっと…ずっと前から。


俺はまだこの星が、
誰の星なのか─…まだ知らない。
< 118 / 353 >

この作品をシェア

pagetop