―百合色―
ドクン…


百合に聞こえるかな?


俺の大きい心臓の音。


うるさく鳴っている心臓。

聞こえる?



『…何て言えばいいか…分かんねぇ…』


俺は何て言えばいい?


百合の事、嫌いって言えばいいの?


でも俺は百合の事、嫌いじゃない。


じゃあ何て言えばいい?


『ちゃんと聞かせて?
光輝の気持ち』



こんな短時間で何を考えればいいんだよ。



もう、頭が回らない。

だから俺は百合にこう言ったんだ。


本当は、自分でも分からないんだ。


何故こう言ってしまったか。


百合、お前は…
真っ直ぐな人間だね。


『俺…彼女…いるし、
彼女が大事…だから…』



途切れ途切れに出た言葉は、自分でも何故こんな事を言ったのか分からない言葉。


百合は、悲しい顔をして、下を向いた。


俺も、百合を見ていたら悲しくなったんだ。
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