―百合色―
でも百合は、強かった。


『そっか…そうだよね!
ごめんね?でもありがとう…光輝の気持ち聞かせてくれて…』



百合はフラれたのに、
笑顔を俺に見せた。

いつもと変わらない…


あの愛しい笑顔─…


目には涙を溜めながら。

泣きたいのを我慢しながら、百合は俺に、


《ありがとう》と言った。


今言っても遅いかもしれない。


でも俺の気持ちが見えてきた。

泣きそうな百合を、
笑顔の百合を、


全て愛しいとこの時思った。



さっきの言葉、撤回させてくれ。


今の気持ちを言ったら、

百合は、もっと…もっと…

綺麗な笑顔、最高の笑顔を見せてくれるよな?


『でも百合…俺…』



完全に沈んだ夕日。

この場所には光がなく、


俺の心にも光がなくなった。
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