―百合色―
いつものように駅に行って、電車に乗り、バス停へと向かった所まではいいが、俺はバスには乗らず、
違う場所を目指した。



今日は学校へは行かない。

本当は百合に会いたいが、
百合は会いたくないだろう。


『やっぱここだよな』



俺が来た場所は、いつもの場所。


ベンチに座り、朝の街を見渡した。


朝の街は、初めてで、
この景色も綺麗だった。


『百合…』


小さく溢す百合という名前。


その瞬間、
風が勢いよく吹いた。


『…??…』


ただ百合と空に向かって呟いただけなのに、
それに反応したように、風が吹いた。


この空の上に、


百合という人がいるのかな?


俺の中にも百合という人が眠っている。


『ごめん…百合…
会いたい…』



俺の中の愛は少しずつ育っている。



何故、人から愛は生まれるのだろう?


その愛はどこまで成長するだろうか?
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