―百合色―
この場所で、
百合の事を考えていると、つい時間を忘れてしまう。

気が付けば、夕方になっていた。


俺の好きな景色が見え始める。


朝とは全然違う景色。



その景色を見ている時、
ここに向かってくる一人の人が見えた。



『百合…』


その人は、百合だった。



神様、聞いてたの?

俺の独り言。


《百合に会いたい》という独り言。



神様は聞いていたの?


だから、ここに百合を連れてきてくれたの?


ねぇ…そうなの?



ドクン…


高鳴る鼓動。


期待する俺。


次第に汗をかきはじめる手。


近付く百合。


なびく長い髪。


最高の笑顔。



『はぁ…こっ光輝…』



『…ゆ…り…』


『光輝』


見つめ合う俺達。


百合の真っ直ぐした瞳に、吸い込まれていく俺。



また愛が育つ。
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