―百合色―
─…放課後のそうじの時間。


俺は掃除場所と違う所にいた。



『光輝、お前、麻生とどうなったわけ?』



タクミが俺を呆れた目で見る。


俺より背が高いタクミから見下ろされると、何だか怖い。



『さぁ?お前に関係ないじゃん』


今の俺は冷たく言う事しか出来ない。


それより、修と百合の事が気になって仕方がない。


タクミの話は、どうでもいい。



ごめんな…タクミ。



『何だそれ。光輝は、どうしたいんだよ?別れてもいいわけ?』



『さぁ?どうだろね。マナが決めるんじゃね?』


別れるか─…


別れないか─…



そんなの考えなくても、
答えは分かっている。


『光輝、お前の事よく分かんねぇわ。好きなやつとか出来た?』



『…さぁな。話はそれだけ?俺、予定あるし帰りたいんだけど。俺らのクラスのやつ帰ってるし。じゃあな』


心配してくれていたタクミを、自ら突き放した。


俺は、それでもタクミには感謝している。
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