―百合色―
マナ…何でそんな目で俺を見つめるの…?



『…嫌』



はい?


今何て言った?



『は?』


『嫌よ。私…別れない』


バスで考えていた答えと、違う答えが返ってきた。

マナは当然、俺の答えに賛成すると思っていた。


でもマナは、はっきりと言った。


《嫌だ》《別れない》と。


『はっ…何で…』



『私、分かったの。
考えてみて分かった。
私にはやっぱ光輝しかいないって。
光輝が一番好きよ?』



……どうしたらいい?



俺はもう終わりだと思っていた。


マナは、あの男を選ぶと思っていた。


でもマナは…俺を好きだと言った。



訳が分からなくなってきた。


だが、俺は自分に嘘はつかない。
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