―百合色―
『フラれたよ』


修から聞こえた言葉で、
俺は、小さく拳を握った。


ガッツポーズ。


電話の向こうで、暗い声で話している修に対して、
俺は小さくガッツポーズをしたんだ。


励ます言葉が、出なかった。

ただ、


『そっか…』


しか言えなかった。


修…俺、喜んでしまった。

修が百合から貰った答えを聞いて、一緒に悲しんでやれなかった。


喜んでしまった自分がいる。


ごめんな…修…


謝っても、謝っても…


修は意味が分からないよな。


お前に相談したいんだ。
お前に言いたいんだ、

《百合が好き》と。


でも、俺は言えない。


百合に言いたいから。


百合に言ってから、
修にちゃんと言うよ…


それまで…待ってて…
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