―百合色―
早く来て…百合…


すごく胸が熱い。

この夕日のように、
明るくて、綺麗な俺の気持ちを、早く君に言いたくて、言いたくて、


百合…早く来ないと冷めちゃうよ?



『まだかな…』


さっきの電話から何分経っただろうか。

携帯の時計を見ても、
あまり時間は経っていない。


なかなか人影が現れない。

百合はすぐ来ると言ったのに、


何をしているのかな…


早く来てよ…



──…あれからどれだけ経っただろうか?


時間が過ぎるのは、
時に速く、時に遅い。


もう夕日は完全に沈んでしまった。



夜になる。

この世界に、夜が訪れた。

百合の姿は…ない。


『何…してんだよ。百合…早く来いよ…』


百合は今何をしているの?

何かあったのなら、
この携帯に電話が来るはずだ。


でもこの携帯は、鳴らない─…
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