―百合色―

急に、大きな音で鳴り出す携帯。


俺は戸惑ってしまった。


『百合…』


素早く携帯を開け、
画面を見た。



『タクミ？』


また百合ではなかった。

今度はタクミ。


何故タクミから電話がかかってくるのだろうか？


今日、二人で仲良く帰っていたのに…


もしかして、百合と付き合う事になったとか言うんじゃねぇだろうな？


そう言ったら、タクミをボコボコに殴ってやる。



『はい…何だよタクミ』


『何だよじゃねぇよ！』


『何でそんな焦ってるんだよ？何かあったか？』



『大変なんだよ！百合が…百合が──…』



嘘だろ？


嘘だよな？


百合が…百合が？



俺は気が付くと、無我夢中になって走っていた。


一回も止まらずに、

タクミが教えてくれた場所まで…


百合に会いに…