―百合色―
『中へどうぞ?』


『あっはい…』


俺は優さんに言われるがまま、中へ入る。


俺の心臓は鳴り止まない。


『百合は…まだ眠ったままなんだ。ほとんど外傷はないんだけどね…目を醒ましてくれないんだ…』



『百合…』


一歩一歩百合が眠っているベットへと近付く。


百合を見ると、《百合》と呼べば起きてくれそうなくらい、気持良さそうに眠っていた。



百合…
朝だよ…起きて…


必死に心の中で叫んでも、百合には届かない…



『ごめんなさい…俺が…悪いんです…俺があのとき…百合を呼び出したから…』


『…いや…百合が悪かったんだ。百合が信号を無視して…飛び出したからなんだ。だから光輝君のせいじゃないよ。安心しなさい』



『でも…』



『大丈夫だから…』


優さんは俺に優しい笑顔を見せた。


その笑顔を見たら、
涙が溢れだしたんだ。
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