―百合色―
『百合を泣かせんなよな!』


『任せろって!』


俺は笑顔になる。

優さんみたいに素敵な笑顔は見せれないが、

それでも笑う。


笑顔は不思議な力を持っているから。


笑顔は人を幸せにする力があるから。


俺は笑顔を糧にする。


タクミを見送る時、
俺は夜空を見上げた。


すると、俺は見たんだ。


沢山の星の中から、
ひとつの星が流れた瞬間を。



『流れ星…』


『えっまじ?』



『明日…いいことあるかもしれないな…』



今流れたのは誰の星だろう?


誰かの願いが叶ったんだ。

俺の願いだったらいいのに…



──翌日…


俺は今日も百合がいる病院へ行こうと準備していた。

『よし、行くか!』


部屋を出ようとした時、
ポケットの中に入っていた携帯が、大きな音で鳴り響く。



『…タクミ?』



この電話の内容が、

良い事なのか、

悪い事なのかは、


出ないと分からない──…
< 178 / 353 >

この作品をシェア

pagetop