―百合色―
過ぎた時間は、もう取り戻せないが、
まだまだある時間を有効に使えば、過ぎた時間を取り戻せるかもしれない。


それは、一人では出来ない。


君が必要なんだ。


隣には君という特等席を用意しとくよ。



ね、百合…



次第に聞こえてくる足の音。


もう見なくても誰だか分かる。


君は俺の名を呼んでくれるだろ?



『光輝!』


そして俺が振り返れば、
君の姿が目に入り、
次俺が君の名を呼ぶ。


『百合!』


百合は、俺の方へと駆け寄ってきた。


でも俺はこう言った。


『ストップ!』


今、言うよ。

恥ずかしいけど聞いて?

俺の精一杯の気持ち。


『百合~!俺彼女と別れた!…俺さ…お前が好き!
大好き!百合の笑顔がすごく好きなんだ!俺のそばで、その笑顔見せてよ!』


耳まで熱くなる。

燃え上がる、俺の情熱。

もう言わねぇからな。

百合、ちゃんと聞いてたかよ?



すると百合は笑顔を向けた。



『光輝!私も大好き!』


俺は、恋愛なんてどうでもよかった。


でも…百合?


俺、無器用だし、すぐ怒るけど…


お前を愛してるからさ。
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